近年オリンピックの種目として選出され注目を集めているブレイクダンス。
ストリートダンスの中で最も有名なジャンルと言っても過言ではないと思います。
ブレイクダンスは見たことあるけどその歴史やスタイルなどあまり細かいところはよくわからないというダンサーの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、現役のストリートダンサーである筆者が、ブレイクダンスの特徴や歴史からそのスタイルやおすすめコンテンツについてご紹介していきます。
ブレイクダンス(BREAK DANCE)とは?
ブレイクダンス(BREAK DANCE)は、数あるストリートダンスのジャンル中でも世界で最もダンサー人口が多いジャンルで、「ブレイクダンス(BREAK DANCE)」「ブレイキン(Breakin’)」「ブレイク(Break)」「B-BOYING/B-GIRLING」など様々な呼び名があります。
ブレイクダンス(BREAK DANCE)を踊るダンサーのことを一般的に「ブレイクダンサー(BREAK DANCER)」「ブレイカー(BREAKER)」「Bボーイ(B-BOY)」「Bガール(B-GIRL)」と呼びます。
バトルカルチャーのダンスジャンルであることから、挑発的なジェスチャーやダンス中のアピールやポージング、アクロバットなどの派手な技や豪快なフロアムーヴなどが特徴で、ヒップホップ文化が色濃く現れているファッションなどが印象的。
ブレイクダンスの歴史
ブレイクダンスの起源は、1970年代頃のアメリカで「クールハーク(Kool Herc)」というDJが生み出した「ブレイクビーツ(BREAK BEATS)」という曲の間奏部分を繰り返し流すスタイルの音楽で、ブレイクダンスの「ブレイク(Break)」やBボーイの「B」という言葉はこのブレイクビーツから来ていると言われているが、クールハークはこれについて以下のように語っています。
ダンスの”ブレイク”は音の”ブレイク”とは別で、ある種の転換点を表現したものなんだ、それを拡大解釈してダンスに当てはめた
10年先も胸張って躍れる伝説のbboyが語るブレイクダンスの歴史
ブレイクダンスはヒップホップ文化の一部として発展し、ヒップホップには「ブレイクダンス」「ラップ」「グラフィティ」「DJ」の4大要素があるとされています。
ブレイクダンスが誕生した後、ブロンクス地区の若者を中心にアフリカ系やプエルトリコ系のブレイクダンサー達によってフロアやパワームーヴなどの様々な技術が組み込まれながら、今日のブレイクダンスの形へと変化してきました。
また、ブレイクダンスは1970年代頃にサウスブロンクス地区でのギャングの抗争の際に、銃撃戦などの暴力の代わりにブレイクダンスによるダンスバトルを行なって勝敗をつけあったことで発展したとも言われています。
ブレイクダンスの基本要素
続いて、ブレイクダンスの基本要素についていくつかご紹介していきます。
エントリー(トップロック)
エントリー(トップロック)はブレイクダンスの基本となる立ちの動きで、音楽に合わせて「トップロック」「アップロック」「ブロンクスステップ」などのステップや手と腕を組み合わせた動きを組み合わせて表現します。
エントリー(トップロック)にこだわってダンスを組み立てていくダンサーもいれば他のムーヴへの繋ぎとして使うダンサーなど様々です。
フットワーク(ダウンロック)
フットワーク(ダウンロック)はブレイクダンスにおけるフロアでのステップや足捌きのことで、両手または片手で体重を支えながら足を捌いていく動き。
6ステップ(6歩)やCCなどの基本的な動きを始め、様々なスタイルのブレイクダンサーによって日々新しいフットワークが生まれている。
フリーズ
フリーズは、ムーヴ中にポージングを決めて数秒間止まるような動きで、チェアやマックスなどのブレイクダンスの代表的なシルエットで音を取ったり間を作ったりとブレイクダンスならではの動きといえます。
オリジナリティのあるカッコ良いシルエットやダイナミックな止まり方をするものなどダンサーによって様々なフリーズがあり、写真映えするためダンス関連のクリエイティブなどにも頻繁に使用されている。
パワームーブ
ブレイクダンスの中でも最もダイナミックでスキルフルな動きが特徴のパワームーヴは、これまで数々のブレイクダンサー達によって人間離れした動きが生み出されてきました。
「ウインドミル」「ヘッドスピン」「エアフレア」「1990」など日に日に難易度の高い技が生み出され、一つの技をなんとか習得するのに何ヶ月もかけるダンサーは恐らくブレイクダンサーだけだと言えるでしょう。
映画・ショー・音楽PVなど、昔から今まで多くの作品に登場するパワームーヴはダンスを知らない人でもその凄さが分かるものが多いです。
ブレイクダンスの服装
ブレイクダンスの衣装や服装については、最近ではかなりカジュアルなファッションをするダンサーも多く時代に合わせて自由な服装となってきていますが、そのカルチャーからストリート系・ヒップホップ系の服装が主流だといえます。
特にフットワークやパワームーブなどのフロアムーヴや激しい動きを多用することから踊りやすいスタイリッシュな服装をするダンサーが多いです。
ビックシルエットなTシャツやフードの大きいパーカー、キャップやニット帽などを愛用するダンサーも多く、ヘッドスピン用の「ヘッドスピンビーニー」や「肘パッド」などはブレイクダンス特有のアイテムです。
有名なブレイクダンサー達
海外のブレイクダンスチーム
Rock Steady Crew
ブレイクダンス黎明期の1977年に「Jimmy D」と「Jojo」によって誕生し、「Crazy Legs」や「Lenny Len」などが参加したB-BOY集団。クルーに参加するには、クルーメンバーにダンスバトルで勝たなければならなかったと言われています。
Battle Squad
B-BOY界の超重要人物達による伝説的チームBattle Squad(バトルスカッド)です。メンバーは「Swift Rock」「Storm」「Speedy」。
Mighty Zulu Kingz
「Afrika Bambaataa(アフリカ・バンバータ)」により結成されたB-BOYクルーで「MZK」と略されます。「AHMED HENDERSON」「AZIZ JACKSON」「SHAKA REED」「KUSA STOKES」「ZAMBU LANER」がオリジナルメンバーと言われおり、世代交代を続けながらメンバーも入れ替わり、現在は世界中にメンバーがいます。
日本のブレイクダンスチーム
BRONX
大阪の若手B-BOY集団として当時の日本でかなりの人気を集めたチーム。今は解散していますが、「KAZU」「ISOPP」「TORU」「GUNNJO(群青)」「BOMI」「MG」「KENSAKU」などが所属していました。
ALL AREA
メンバーは「TAISUKE」「KAZUHIRO」「YUSKI」「TAKASHI」「KATSUYA」などがメンバーで、ブレイクダンスの世界的なブレイクダンスの大会「Battle OF THE YEAR(BOTY)」で優勝を果たしたブレイクダンスチームです。
Found Nation
2002年に山梨で「DRAOGN」「DOVERMAN」「WING ZERO」により結成されたブレイクダンスチームで、現在はメンバーを増やし公式ホームページの運営や公式YouTubeチャンネル「FLAVA JAPAN」での情報発信など幅広い活動を行なっています。
ブレイクダンスのおすすめ曲
Incredible Bongo Band – Apache
The Jimmy Castor Bunch – It’s Just Begun
James Brown – Get on the Good Foot
Arthur Baker – Breakers Revenge
Black Machine – How Gee
ブレイクダンスのおすすめDVD
ワイルド・スタイル
ヒップホップが生まれる瞬間を切り取ったHIP HOPファン必携のマスターピース。
DJ・ラップ・ブレイクダンス・グラフィティ・アートなどのHIPHOPカルチャーを1982年のニューヨーク・サウスブロンクスから見たい方は必見。
Freshest Kids: History of B-Boy
ヒップホップとブレイクダンスが生まれた瞬間から現在までのストーリーを追ったドキュメンタリーDVD。
「クールハーク」「アフリカ・バンバータ」「KRS-1」「Rock Steady Crew」などのヒップホップ界の最重要人物がインタビューに登場し、ヒップホップ黎明期の物語を語っている貴重なDVD。
ブレイクダンス + ブレイクダンス2 ブーガルビートでT.K.O!
ヒップホップの精神が満載のブレイクダンスに人生を捧げた若者たちの青春を描いた人気シリーズ2作品。B-BOYだけでなくヒップホップやストリートカルチャーが好きな人は必見の作品。
1st STEP BREAKIN’ 超入門編
Mr.エアチェアーと呼ばれるB-BOY「RYOMA(MORTAL COMBAT)」による、1週間でブレイクダンスの基礎を徹底的に学べるストリートダンスDVD。
特典として「JAPAN DANCE DELIGHT」でRYOMAが優勝した時のパフォーマンスをフル収録されています
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。今回は、ブレイクダンスの特徴やその歴史などについてご紹介しました。
ブレイクダンスはヒップホップ文化と共に発展し、多くのダンサーに愛されてきたストリートダンスです。
日々進化が止まらないブレイクダンサー達の活躍が「オリンピック」「D.League」「Redbull」など様々な場所で取り上げられ、そのパフォーマンスを見ることができるのは本当に凄いことだと感じています。
これからのブレイクダンスとヒップホップ文化の発展がますます楽しみですね。本記事を最後までご覧いただき、ありがとうございました
【参考文献・書籍・記事】