皆さんはビバップと聞いて何を思い浮かべますか?
ストリートダンスに関心がある方なら、伝説的ロックダンスチームの「Be Bop Crew」を思い浮かべるかもしれません。
世代の方なら、ヤンキー漫画の「ビー・バップ・ハイスクール」を思い浮かべるかもしれません(笑)
そんな「ビバップ(Be Bop)」は、実は元々音楽のジャンルの1つであり、更にそこから派生したダンスジャンルの名前なのです。
今回はそんなビバップについて、特徴や歴史、有名なダンサーを紹介していきます。
ビバップ(Be Bop)とは?
ビバップは、ノーザンジャズ、というスタイルから派生した、イギリス発祥のダンスのジャンルです。
元々即興姓に主眼を置いたジャズの一形態であるビバップという音楽ジャンルがあり、クラブで生演奏されていたビバップミュージックに合わせて踊られていたことから、ビバップという名前のダンスになっています。(その為ビバップダンスは英語ではUK Juzz Danceと呼ばれています。)
流れるようなしなやかな腕の動きと、リズミカルな足さばきが特徴で、その足さばきはハウスダンスに影響を与えたとも言われています。
元々生演奏に合わせて踊られていたという特徴から、その動きはアドリブが主体で、大勢で動きを揃えてショーケースのように踊られることは少ないです。
どちらかと言えば、サイファーのような場で1人ずつ踊られることが多いジャンルとなっています。
またイギリス発祥と言うこともあって、そのファッションには英国紳士の要素を含んでいます。
「スーツと帽子」というクラシカルな装いが非常に似合うダンスジャンルなのです。
アメリカンクラシックなダンスがソウルだとすれば、ブリティッシュクラシカルなダンスがビバップ、と言ったところでしょうか。(2つのダンスの成立年代は大きく違いますが)
ビバップの魅力が伝わるでしょうか?
ハウスを彷彿とさせるようなリズミカルで素早いステップに、しなやかに流れるような腕の動きとスピン、そしてアクロバット。
最近では他ジャンルとの融合も進んでおり、この動画でもブレイキンの動きが取り入れられていることがわかります。
そして特筆すべきはやはりファッションです。小洒落たジャケパンスタイルにハット、そんな装いと相性抜群のジャズミュージック。
このようなクラシカルで渋い、オシャレな魅力に溢れたダンスがビバップなのです。
ビバップの歴史
ビバップの誕生は、1990年頃のロンドンだと言われています。
ビバップ誕生以前の70年代から80年代にかけて、イギリス北部ではダンスが非常に盛り上がっており、毎晩クラブでダンスバトルが行われていました。
その当時踊られていたのはノーザンジャズというダンスで、バレエやジャズをベースに発展したダンスでした。
そんな時代の中で、あるクラブでのダンスバトル優勝者を筆頭にして、Brothers In Jazzというグループが結成されます。
彼らは誰も見たことがないダンススタイルを考案しようとして、自分たちが得意としている「マンボ」と、当時ダンスシーンで主流だったジャズミュージックを組み合わせて踊ることを始めました。
そのステップから、今のビバップが始まったと言われています。
そこから彼らはビバップのスタイルに、ノーザンジャズのスピンやジャンプ、フットワークを取り入れて、今のビバップというジャンルが作られていったのです。
ビバップの技術
ビバップは高速で絶え間なくステップを刻むので、動画を見ただけではどのような動きをしているのかわかりにくいです。
ここで、ビバップの代表的なステップを紹介しますので、是非一緒に練習してみましょう。
基本のステップをゆっくり練習してみて、それができるようになったら段々と音楽に合わせて早くしていきましょう。
それを繰り返しているうちに、紹介するステップに限らず、様々なステップを習得する下地ができていきます。
IDJステップ
IDJとは、Brothers In Jazzと同時期に活躍していたダンスチームの名前です。
彼らが考えた動きなのでIDJステップです。
タップダンスの要素が強く、足音を鳴らしながら1,2,3のリズムでステップを踏みます。
スイングステップ
片足ずつステップを踏みながら、左右に移動していく技です。
流れるように移動していくので、これができると一気にそれっぽく見えますよ。
6ステップ
音を6つに刻んで動く技になります。
長い技なので覚えるのが難しいですが、1つ1つの動き自体は簡単なのでゆっくり動きながら練習しましょう。
長い技を通して、ビバップの音の取り方を体で覚えることができます。
有名なビバップダンサー達
海外のダンサー
Brothers In Jazz
先ほどもご紹介した、ビバップを作り上げたダンスチームです。
実は日本にも2回来ており、ショーケースを行ったり、CMに出演した実績があります。
日本のダンスシーンにも大きな影響を与えています。
I.D.J
IDJステップの技名の由来になっているチームです。
Brothers In Jazzと同時期に活躍していたダンスチームであり、Brothers In Jazzとダンスバトルで対戦したこともあります。
そのバトルはイギリス国内においてテレビ放送され、国中のダンサーが熱狂しました。
I.D.JもBrothers In Jazzと同様に来日したことがあり、ワークショップを開催しています。
日本のダンサー
MEGA-MIX
フジテレビのダンス番組「DANCE! DANCE! DANCE!」内で結成されたチームです。
光GENJIの曲の振り付けなども行っており、当時のお茶の間にダンスを広めました。
後にメンバーの一部がパフォーマンスグループのTRFのメンバーとして活動を始めたことで解散し、残ったメンバーは後に紹介するSound Cream Steppersを結成することとなります。
Sound Cream Steppers
MEGA-MIXのメンバーのうち、TRFとしての活動を選ばず、アンダーグラウンドのダンスシーンに留まる道を選んだ3人が結成したチームです。
TRFがパフォーマーとして地上波に進出したのに対し、Sound Cream Steppersはダンスシーンに留まり続け、ビバップブームを引き起こしました。
Repoll:FX
「Entertainment Be-Bop」をモットーに、活動するダンスチームです。
JAPAN DANCE DELIGHTにおいて2度の準優勝経験があるチームで、海外ツアーも行っている世界的に名声のあるチームです。
日本においてマイナージャンルだったビバップを人気にした立役者といえるでしょう。
ビバップの服装
ビバップを踊るからには、是非スーツにハット、というスタイルで踊ってみましょう。
スーツと言ってもどんなスーツでも良い訳ではないので、ビバップの魅力を最大限に引き出すクラシカルなスーツスタイルの特徴を紹介致します。
①スーツはゆったりとしたシルエットのものを選ぶ
基本的にスーツというと、細身の物を思い浮かべる方が多いと思います。
スーツというのは時代に合わせて流行があり、特に最近は細身のシルエットの物が主流なのです。
しかしビバップが生まれた90年頃は、今より太めのシルエットが主流でした。
ビバップが生まれた時代に合わせたクラシカルな装いのためには、是非その時代の流行を取り入れてゆったりとしたシルエットの物を選びましょう。
普段日本の日常生活では滅多に見かけないスタイルですが、膝上くらいの丈のロングジャケットを羽織るのもかっこいいですよ。
②イギリスっぽさを感じさせる柄、生地感
シルエットを意識できたら、柄にも意識を向けてみましょう。
無地のスーツが悪いというわけではありませんが、イギリスっぽさを感じさせるチェックなどの柄が入っていた方が、より衣装らしくなり、テンションも上がると思います。
グレンチェックや千鳥格子は共にスコットランド発祥なので、当時の雰囲気を身にまとうことができると思います。
可能であれば、日常生活でよく見かけるナイロン系の素材ではなく、ツイード系の素材のジャケットを使うとなお良いでしょう。
③ネクタイまでこだわって
最後はネクタイです。
普段のビジネスシーンでもそうですが、オシャレな人はネクタイまでこだわります。
着用するスーツとの相性を考えて、色味や柄を選びましょう。
普段は滅多に使うことのない蝶ネクタイを使用するのも良いと思います。
またネクタイもやや太めの物を選ぶとクラシックな雰囲気が出せると思います。
ビバップのおすすめ曲
始めに紹介したとおり、ビバップはジャズミュージックに合わせて即興で踊られることが多いジャンルです。
ジャズの中でも様々な曲調の物を聞いて、どんな曲でも自由に踊れるようにしましょう。
Art Blakey & the Jazz Messengers「Moanin’」
Herbie Hancock「Cantaloupe Island」
Charles Mingus「Moanin’」
John Coltrane「Giant Steps」
John Coltrane「Blue Train」
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はビバップの特徴や歴史、技術やファッションについてご紹介致しました。
ビバップはあらゆるダンスの中でも抜群に渋い魅力を持った、幅広い年代の方が楽しめるダンスです。
ジャズミュージックもオシャレですし、ファッションもスーツでバッチリ決まります。
ストリートダンスという文化になんとなく抵抗感がある方でも、きっと魅力を感じることができるダンスとなっています。
少しでも興味を持って頂けたら、是非紹介したステップの練習から始めてみてください。
本記事を最後まで呼んでくださりありがとうございました。
<参考サイト>
①渋さが魅力的!ジャズに合わせて踊るビバップダンスを紹介
②BE BOP (ビバップ) | ビバップダンスの種類や歴史を徹底解説!
③Be-Bopについて ~ The legend of “BROTHERS IN JAZZ”~
④BE-BOP “UK JAZZ DANCE STYLE“ ~The True Underground~
⑤スーツの流行り(トレンド)は?|1960年~2020年で見るスーツの文化・映画